なおらない傷はない。

中学生の時、錯乱して、右手の平の側面をざっくりと切ってしまった。
切ろうとして切ったのではない。
卒倒しそうな恐怖心に心身を乗っ取られ、気付けば鞄に入っていた小型カッターを握りしめ、校舎のスロープを駆け降りていた。
硬くて白い壁に刃先を沿わせ、ガリガリと削り取りながら、下り坂をゆく。
たった3階分の距離は、永遠にも近いのではないかと思われた。
1階に辿り着き立ち止まると、上がり切った呼吸が正気をつれてきた。
このまま帰っちゃおうかなあと思いながら、ふと手元を見れば、真っ赤だった。
水よりもぬめりをもった液体が、右手から滴り落ちている。
あ、これはあかんやつですねと、小走りで保健室へ飛び込む。
中にいた数名の生徒がギョッとした顔でこちらを見、先生は動揺するよりもはやく、私の腕を引き、血まみれの手を流水に当てた。
それまでのすべてが押し寄せ、頭の中で何かがぷつんと音を立ててちぎれ、嗚咽を漏らして泣いた。
幸い縫う程ではなかったが、その時の傷跡は、今もきちんと残っている。
あの時のながいながいスロープも、指先に伝わる粗い感覚も、絶望でいっぱいの頭で全身で風を切りながら、なぜだか微笑みが止まらなかったこと、今でもはっきりと思い出せる。
しかしながら、今、傷跡を見、当時の感触を想起したとて、暗闇に飲まれることはない。
どうして、なんで、と、だれかやなにかに原因を求め、責任転嫁をしながらも、違和感と惨めさ、羞恥心を味わい、悶々と進み続けた、その過程は無意でなかったらしい。
傷はのこる。
記憶は消えない。
だからこそ、克服してゆける。
憂いは、ない。
疫病神として囲うのはやめて、広いところへ放つだけで、恨み辛みは慈悲に成り得る。
わかったと思い込んで、やっぱりちがって、やっとわかったとまた思い込む。
進んでいるのか、後退しているのか定かでなくとも、私は思考をとめないでいきていたい。
日曜日は、ワタナベカズヒロさんのワンマンライブを観に行った。
ダムダム団鈴木さんのお知り合いで、先日のM.J.Q.とのツーマンにも来てくださった。
今のダムダム団海外にいくべきだとひどく熱弁してくれ、気付いたらお互いBarbaraの床にうつ伏せていた。
乾杯を低い位置でしようとし続けた結果である。
酔っぱらいは、ライブハウスの床が好き。
ガチプロ集団の演奏に、脳みそがフル稼働し、めちゃくちゃに触発された。
「反面教師という話があるけれど、いいものにだけふれていればよい。」
と、昔、学校の先生が言っていた。
その実、難しい話だけれど、本当にその通りなのかもしれない。
逆を云えば、このましからざるものからは、遠ざかるべきなのだ。

鈴木夫妻とライブを堪能したのち、高円寺の壱番館で打ち上がる。
鈴木さんの奥さんは聡明でめちゃくちゃ頭が切れる方なので、いつもすごく楽しい。
ふたりだけで呑みにいくくらい、とても仲良しである。
こんな可愛くて頭のよい娘さんが、何故鈴木さんなどと結婚したのだろうと不思議で仕方ない。
まだ時間は早かったが翌日も仕事ということで、解散。
呑み足りないので、最近開店した大将2号店へ。
カレーの日の打ち上げはいつもこちらだったのだが、閉店してからはまつり太鼓へ移行していた。
改装してピカピカの大将。
店員さんも覚えていてくれていて、
「また打ち上げで使ってくださいね。」
とお声掛けくださった。
明日の打ち上げは、大将2号店にゆきたい。
カウンターでお隣の席に居合わせたおじさまが駄洒落を炸裂させるタイプの方で、沸点の低い上に酔っぱらいの私は、爆笑。
たのしくお話し、今度カラオケいきましょうね〜!と約束して、お勘定。
大将を出たはよいが、ものすごくカラオケに行きたくなり、ひとりバンバンへ。
セブンイレブンで買い込んだ酒を呑みながら、1時間だけうたう。
すごくたのしかったし、やっぱりうたうことをしたほうが色々気付けるから、また定期的に通おうと思った。
帰宅。
空腹。
カップ麺に心惹かれたが、油揚げのおつまみをつくった。
すごくえらい。
ウーロンハイを温めて、ホットウーロンハイにして召す。
うまい。
天才かな?と独り言を言いながら、就寝。
楽しい日々はあっという間に過ぎてゆくし、夜は長くて短いから、的確に、確実にとどめを刺さなければならない。
そしてやはり、To Be With YouのMVのエリック・マーティンは、セクシー極まりない。
けしからん。
ありがとうございます。
来年の2月3月に、企画をやります。
ものすごいです。
しあわせかな。
整い次第、おしらせします。
おわりのわからない人生、せめて目の届く範囲くらい、たのしい予定でたくさんにしてゆこう。

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