酒場とLIVEと出会いと。

吉祥寺BLACK&BLUEでのソロライブの際は、リハーサル後、呑み屋さんに向かう。
他のライブでも、ソロであれば、大体、呑みに行く。
なんなら、ライブハウスへ向かう道中、缶ビールを呑んでいる。
わくわくとドキドキに胸躍らせ乍ら、にやにやしながら、その地へ向かう。

【青森の海。5月4日無力無善寺アイドルも出ているライブには、青森お土産を調理してゆく予定。是非に。】


リハーサル、というのが、苦手だ。
本番の予行演習とされる、リハ。
あれを演ると、自分の、破裂するギリギリまでためてきたエネルギーが、スゥーっと微量に抜けてゆく。
丁度、パンパンにふくらませた風船の吹き込み口から、空気が抜けていってしまう、あの感覚。
本番で大爆発を起こす筈が、どこか、しょんぼりしたものになってしまうような、そんな感触。
ダムダム団に加入してライブをやるようになってから、やっとリハーサルを演る意義に納得がいった。
複数の電子で増幅させた音を、調和して理想に近い形で聴いてもらうには、空間や機材を加味したリハーサルが重要なのだ。
PAさんと呼ばれる方が音響を、照明さんが光の明滅や色を、こちらの想う形へコントロールしてくれる。
"リハーサルとは、演者の魅せたい形を、最低限整えるためのもの"
と、きちんと心に落とし込むことが出来て以来、ソロのリハも、昔よりも器用にこなせるようになってきた。
だけれど。
やっぱり。
なるべく、リハーサルはしたくない。
私は、人生において、予行演習ができない。
私の求めている恍惚に、ほどほど、という感覚は、見合わない。
人生がくぐもってしまうような、漠然とした、コレじゃない感がある。
「歌詞がボヤけるほどのリバーブはいりません。」
音響のスタッフさんには、これだけ伝えられていれば、あとは取るに足らない問題だと思っている。
4月25日、吉祥寺BLACK&BLUEでのリハーサルを終え、ふらふらと吉祥寺の街を歩く。
坊主になってから何人かに、耳飾りをしたら似合うと思うと言われた。
たしかに!と、しっくりくるものをゆるゆる探していた。
吉祥寺の商店街のアクセサリー屋さんに入り、並べてあるイヤリングを見流す。
私は、ピアスの穴を開けていない。
いまから開けるとなると、趣味である献血をしばらく出来なくなってしまうし、オシャレの為に針で肉体に穴を開けるという行為が、自分の感覚にしっくりこなかった。
実家のソファで目覚めた時、両耳眉口端に二桁を超えるピアスを開けている姉に、
「じゅん、大丈夫。一瞬だから、こわくないよ。」
と、耳に穴を開けるためのピアッサーを当てがわれていたときは、驚愕と同時に全力で抗った。
無事、私のピアス処女は防衛され今に至る。
そんなこともあったなあ、と回想しながらキラキラしたアクセサリーを眺める。
青色のダイヤ型のイヤリングが目にはいった。
自分の耳につけてみる。
こういうのは直感が大切なのだ。
「よろしければどうぞ。」
と、店員さんがトレーを渡してくれたので、青色のダイヤ型のイヤリングを一対乗せ、他に特に買いたいものはないのだけれど、なんとなく売り場をうろうろとする。
会計をしようとレジに行くと、向かいのヘアアクセサリーの売り場に、大きないちごのヘアクリップがあった。
パイナップルもあったのだが、これはいちご一択であろうと確信し、手に取りレジへと居直る。
心のニューギアを手に入れ、ホクホクでお店を出た。
公園口の立ち飲み屋ほていちゃんがなくなっていた。
あともう一杯呑みたいときにちょうどよいお店だったので、すこし残念に思いつつ、すぐ近くにあるかっぱに入る。
「いいもつ焼き屋さん、見つけちゃった。」
と、曼荼羅での私のライブを観に来てくれた母が嬉しそうに教えてくれたのが、老舗のもつ焼き屋さん、かっぱだった。
20代前半の当時は、まだそんなに呑み屋さんめぐりに精を出していなかったので、頭の隅に、母のお気に入りと記憶していたくらいだった。
昨年2022年春、けんじくんからのお誘いでBLACK&BLUEでのライブが決まった。
吉祥寺でのライブはかなり久しぶり。
リハーサルを終えて、買い物がてらよさそうな呑み屋さんを探したが、なかなかピンとくるところがない。
吉祥寺という街は、どこもちょっとオシャレで、私の認識しているセンベロよりもちょっと高く、0時をまわると軒並み閉店する。
そんなイメージがあり、普段から足を運ぶことは稀である。
缶ビールでも買って呑むか否か考え、ふと、かっぱのことを思い出し、公園口へ。
最初は満席だったので、隙間にある立ち飲みスペースへ通して戴いた。
赤星を頼み、しばらくすると席が空いたので、入り口すぐ前のカウンター席へ。
リハーサルがかなり早かった為、本番までは2時間以上ある。
倒れない程度にとうっすら自らを戒め、2本目の赤星ともつ焼きを注文する。
目の前で焼いてくれるスタイルで、この日はメニューに載っていない稀少部位もあるとのこと。
いくつかつまみに呑み乍ら、気付けばお隣の方とお話していた。
なにをきっかけにはじまったのかわからない。
思い出せないというのは、それほどごく自然に起こった事象であり、摂理に則している証で、とても好ましい流れなのだとおもう。
その実、酒に絆されているだけなのだが。
母がすごくよいと言っていて初めて来たんですと話すと、常連と思しき品のある男性は、
「そうですか。いいお店なので、また来てくださいね。」
と仰り帰って行かれた。
さて、私もぼちぼち戻ろうかとお会計を尋ねると、店員さんから、
「さっきの方が払っていかれましたよ。」
と言われた。
なんということだ。
そのスマート過ぎる立ち振る舞いへの感銘と、お礼を言わなくてはという焦りと、嬉しさと、驚きとで、混乱した。
もうお店を出て行かれた後だし、ここで追いかけたら、相手の好意を無下にしてしまう。
とりあえず落ち着こう、と、赤星を注文した。
その後、また別の方とお話が始まり、おすすめされた老酒というお酒を呑んだ。
日本酒などのように、小さめのコップから小皿に溢れさせて出して戴く。
度数は15度くらいだろうか。
うまい。
老酒を2杯飲み干し会計をし、開場時間まであと30分あるのを確認し、ほていちゃんへ入りビールを呑む。
その後のライブの記憶は、ない。
我ながら、記憶もないのによく唄えるな、と、一周回って感心する。
終演後、演者さんとみんなで朝までカラオケへ。
ライブの途中からフロアで爆睡をかました無礼者だというのに、皆様気に留めず、むしろ笑って下さった。
私はとことん、人に恵まれている。
そんなこんなで、久々の吉祥寺ライブ、なかなかボリューミーな1日であった。

先日4月25日、再びBLACK&BLUEでライブだった。
リハーサルを終え、買ったばかりのいちごのヘアクリップを着け、まっすぐにかっぱへ向かう。
店内は比較的空いており、以前座ったのとほぼ同じ、入り口すぐの席へ。
赤星2本目を呑み始めたあたりで、あのスマートな常連さんが、私の隣の、あの日とおなじポジションに座られた。
見間違いだろうか。
いや、おそらく、あの時のあのお方だ。
こんなことがあるのだろうか。
こんなことが、あるのが人生なのだ。
ほどよく酔いを感じ始めたあたりで読んでいた本を閉じ、昔お話させて戴いた者です多分!と、男性にお声をかける。
男性は、ああ、そうですか、とにこやかに返して下さった。
その節はありがとうございました、と、野暮にならぬよう、感謝を伝える。
嬉しいのと、どこか気恥ずかしい気持ちで、こそばゆい。
人生、これだから、やめられない。

木曜日は、高円寺無力無善寺で、定例アイドルも出ているライブの日。
青森のお土産を用い、手料理FOOD提供予定。
皆様、是非是非、おたのしみに。

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