姉のお手伝いをしに行った。

昨日は、最近新居を構えた姉の家にお手伝いに行った。
2年程前から自立の話は持ち上がっていて、母や父、姉からも相談を受けていた。
各々の考えを聞いて、それぞれに角が立たないようやんわりと伝えたり、こうした方がいいんじゃないかなあとぶつからない道を示したり。
私は幼い頃から、このポジションだった。
父が嫌いな母の話を聞き、色々抱えてきた姉とは音楽の話やライブに行く事で気持ちを晴らしたり、無神経な父の発言で家族内に不穏な空気が流れれば、おどけて馬鹿な振りをしたりもした。
私の顔色を窺う癖は、こういうところからきている。
染み付いて離れないし、良くも悪くも自分の構成要素のひとつ。
元々そういう素質もあったのだと思う。
本人に言えない不満などをうんうんと聞いて、いがみ合わずに済む見解を提案し、問題点は張本人にそれとなく、こうしなくちゃダメだよではなく、こうしたらとても良いと私は思うなと思考のレールを敷いていく。
その後改善されるか否かは本人次第だが、それでいい。
人間関係というのはそういう、種を蒔いていくという行為が大切と感じる。
何かを要求したり見返りを求めてのアクションではなく、気付いたら思考を共有出来ていたという方が、圧倒的に広がりがあるし、平和だと思う。
皆の平穏は、私の平穏でもあったから、なんで私がこんな事をしなくちゃいけないのとかそういう気持ちは少しもなかったし、今もない。
寧ろ人間関係プランナーのような気持ちさえ湧いてきて、うまく事が運ぶととても嬉しいし、ガッツポーズをしたくなる。
うちの家族は、かなり操縦し甲斐のある強者揃いだし。
なかなかエンジンが掛かってくれない、でも掛かったら超嬉しい。
SR400みたいなものだ。


姉の初めての一人暮らし。
前述の通り、ここに至るまで、さまざまな事があった。
みんな、本当によく頑張った。
うちの両親は少々、過保護なところがある。
私は早々に家を出ていったので、良い意味でも悪い意味でも、残された姉に注がれてしまった感も否めない。
働いて生活をするという世間一般の軌道に乗るなんて滅相も無いというレベルの姉を見てきているから、勿論仕方がないところもあるとは思うが。
20かそこらの頃、バイトの履歴書の職歴を欄外まで埋めてドヤ顔をしていた姉。
職歴というより、それ、バックレアピールやぞ。
なんにも自慢になってないんやぞ。
姉はなかなか仕事が続かない人だった。
その姉が、きちんと勤めて生活できている今、それだけでもかなりの進歩と思う。
職場の環境や周りの方々のおかげもあるし、何より、姉の努力の賜物だ。
休みの日24時間眠り続けたり、目覚めて夕焼けか朝焼けかわからなかったと笑う姉が、きちんと自分で朝起きてお仕事をしている。
本当にえらい。
まだ家を契約して1週間で、前日初めてひとりで寝泊まりしたという。
足りないものや持っていけるものがあればと、姉父私で実家に立ち寄った。
実家の愛猫、コロちゃん。
2階の洗面所にて。
身体が細くなって、力も弱々しくてびっくりした。
私が13歳のとき我が家にきたので、もうかなりのおばあちゃん。
顔はなぜか、童顔のままなのだ。
にあにあと終始鳴き声をあげてきた。
元気な頃は私が力いっぱい抱きしめたり、よろよろになるまで懐中電灯の光を追って遊ばせたりした。
私はコロに構い過ぎるので若干疎まれていて、抱き上げる度に両手をピンと伸ばして顔を遠ざけられていた。
いたずらが過ぎて、敵だと思われているのだろう。
ちょっとボケてきて私が誰だかわからないのか、抵抗なく抱っこさせてくれた。
力も相当弱っているからなあ。
猫アレルギーなので、速攻でくしゃみが止まらなくなった。
これさえなければ、猫ちゃんスリスリし放題なのに。
コロにあと何回スリスリできるかわからないので、症状覚悟でたくさん抱っこした。
かわいいかわいいかわいい。
こんな生き物が家にいたら、最高どころの騒ぎじゃないわな。
じみちゃんちの猫ズと、ジンさんちのロックとロールにもまた会いたい。


姉の借りた賃貸は、実家から徒歩5分くらい。
何かあったときにも安心だし、最初から全然知らないところに住むより良いだろう、と。
7月に出来たばかりの新築アパートで、童話に出てきそうな綺麗で可愛らしい外観。
部屋の中は、さらにかわいくて綺麗。
さすがは新築。
デザイナーズ物件らしい。
風呂トイレ別、しかも洗濯機掃除機冷蔵庫テレビなど必要家具8点付き。
お布団までプレゼントされたという。
うちの家賃より1000円高いだけでこの手厚さ、凄過ぎでは。
最近の賃貸事情はどうなっているのやら。
ワンルームだが、立ち上がっても頭がぶつからない広めのロフトもあるので、一人暮らしするには充分。
父が物件探しに介入して、自分が気に入ってもいない部屋を契約させられそうになったりしたという苦労を姉から聞いた。
その後自分ひとりで不動産屋さんへ行って、今回の物件を見つけたのだという。
クソジジイという障壁を乗り越え、姉は本当によく頑張った。
あの人本当になんなんだろう。
姉を想ってというのは根本にあると思うのだが、やることなす事、悉く迷惑でしかない。
姉と一緒だから今回顔を合わせたが、ふたりで会うのはまだしばらく先にしようと心に誓う。
必要なものを買おうと、3人でニトリへ。
大きいカートを押しながら、お買い物リストの順番に売り場をまわっていく。
ここでも父の悪癖が始まる。
包丁売り場では、
「これでいい。俺はいつもこれで充分だ。」
と果物ナイフ程の包丁を手に取ってカゴに入れようとしたり、姉があまり大きいものを増やしたくないからと小型のフライパンを手に取ると、
「そんなの玉ねぎともやしを炒めたらすぐ一杯になっちまう。こっちの方がいい。」
とデカいフライパンを推してきたり。
その度に私が、
「だからそれはお父さんの使い勝手でしょ!ねえねのおうちなんだから、ねえねが欲しいものを選べばいいじゃん!」
と声を荒げる。
私も、自宅でこれを使っているよとか、これだとこういう時良いよという利点は述べるが、それらを加味して決定するのは、あくまでも姉に委ねている。
父は、これだ!とかそれはダメだ!とか、いちいち自分の意見を100%押し付けてくる。
本当、この人と不動産屋さんに行ってよく無事だったな姉、と改めて思った。
聞くところによると、姉が契約させられそうになった物件を紹介してくれたのがノリの良いお姉ちゃんで、父と雑談で大盛り上がりしていたらしい。
そういうのはキャバクラとかでやれ。
なにが玉ねぎともやしだよ。
なんでそこ限定なんだよ。
もうわけがわからないよ。
私も姉もあの人とひとつ屋根の下で過ごしてきて、よくここまで生きてこれたよねと後程姉と話した。
そんな感じで右往左往させられながらも、なんとか買い物終了。
父がお会計を持ってくれた。
無礼承知で、この人に経済面が備わっていたのが唯一の救いだと心底思った。
私もこっそり、買い換えようと思っていたシリコン製ターナーをカゴに忍ばせておいた。
今日の諸々の立ち回りを考えれば、報酬としては充分過ぎるのでは。
寧ろ足りないくらいか。

お腹が空いたのでガストに寄った。
最近少食の私は、サラダのSサイズとみんなで頼んだフライドポテトを食べただけでお腹いっぱいになった。
じゅんの誕生日なにもしてやっていないからここは父がと会計を持ってくれた。
ありがたいけれど、誕生日がガストのサラダSサイズと山分けポテトというのは少し切ないなと思った。
父はWうなぎ丼を食べていた。
ぐぬぬ。
私に並に食せる能力がいまあったらと思ったが、仕方がない。
無理して食べてもなにも良いことはないし。
ドリンクバーの黒豆茶がおいしくておかわりして飲んだ。
私がまだ黒豆茶を飲んでいるのに、よし帰るか!と父が荷物をまとめ始める。
この人のいる実家から東京に単身転がり出てきて、本当に良かったと思いながら黒豆茶を一気に飲み干した。
気遣いのできる姉はきちんと気付いており、じゅんがまだ飲んでるでしょー!と制してくれた。
姉を産んでくれたことを感謝せねば。
我々姉妹は、同じ境遇を乗り越えてきた戦友であり同志であり、盟友である。
父を家に帰し、姉と一緒に買ってきたものを開けて部屋に配置した。
ひと段落してから母の家に行って、仕事から帰宅してきた母と姉と3人で吉野家の牛丼を食べた。
私は牛皿にしてもらった。
久しぶりに食べた吉牛は美味しかった。
そのまま泊めてもらい、姉の出勤にあわせて家を出た。
日曜日で人が多いしさっさと帰ろうかなと思ったが、ふと思い立って、森林公園へ来た。
私が小学生時代からたくさんお世話になった、根岸森林公園。
夜お花見を企画したのに、時間に誰も来なくて泣きべそをかいたりもした。
昔より整備されて綺麗になった気がする。
休日なので家族連れなど人は多いが、公園自体がとても広いのであまり気にならない。
芝生でお昼寝でもして帰るとする。
急に暑くなったので、皆様熱中症などにはくれぐれもお気をつけて。

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