高円寺きど藤
立ち飲み屋さんが大好きである。
最近はお洒落なお店も増えてきたようだ。
私の好みの立ち飲み屋さんは、1に安価、2に照明、3に距離感、である。
まず1に、安いこと。
いわゆるセンベロ。
千円でベロベロに酔える、という店の事である。
スピリタス(96度のウォッカ)でも無い限り千円でベロベロにはならないが、良い気分にはなれる。
※注※世間一般のベロベロ≠じゅんじゅんのベロベロ
2つ目は、照明。
オフィスのような青寄りの白い電気だと、なんだか酔いが覚めてしまう。
暖色系で、少し暗めが好き。
安くても煌々と明るい酒場は、何となく避けてしまうので、自分にとって重要なポイントらしい。
3つ目、距離感。
立ち飲み屋さんには1人で行く事が殆ど。
私が至福を噛み締める、大事な時間なのだ。
店員さん、常連さんが居たとしても、話したり、打ち解けたりはしたくない。
気取ったり、毛嫌いしている訳では勿論無くて。
ただ、波風が立たない夕凪のようなこの瞬間を、大切にしたいのだ。
グイグイ話しかけてくる呑み屋さんは、あまり行きたいと思わない。(忘れられた頃にコッソリ行く。)
あまり深入りし合わないからこそ、当たり前かもしれない入店時の「いらっしゃい」や、退店時の「ごちそうさまです」が心にあたたかく感じられる。
カウンターで名前も素性も知らないスーツ姿のサラリーマンと肩を並べて食べ呑み、端に置かれたTVに目を向ける。
勿論、話をすることはない。
けれども私には、この空間や時間、美味しさを共有している隣の知らない誰かが、とても親密で親愛なる人間だと思えるのです。
親しくなる事は悪いことではない。
ただ、近付き過ぎて壊れてしまうものも、実は山程あるのだ。
私は、大切な人や場所こそ、程良く、長くお付き合いしたい。
そう思っています。
高円寺にきど藤という立ち飲み屋さんがある。
ここはいくつかルールがある。
きど藤で検索するとたくさん出てきます。
厳しい的な話を見聞きしてたので、私も初めて行った時はすごく緊張した。
でもいざ入ってみると、全然普通の立ち飲み屋さん。
ルールも、泥酔して来店しないでねとか、匂いのキツすぎるタバコはやめてね、とか、当たり前のことばかりだ。
お2人で切り盛りされているので、いきなり沢山注文したりはNG。
でもこれも様子を見ていたら、言われなくても察しのつくルールである。
タッチパネルの居酒屋さんではなく、店にも呼吸があるのだ。
寧ろそこが大衆酒場の醍醐味ではないだろうか。
カウンターの空いているところに立ち、荷物を足元のフックに掛ける。
10円以上の小銭をカウンターの上に出す。
多くの立ち飲み屋が、このキャッシュオン形式である。
注文すると、提供時に店員さんが代金をそこにある小銭から取ってくれる。
1000円札ならまだ渋い顔はされないが、万札は確実に良くない。出来れば小銭を持って行くのが良いだろう。
前にあった隣のカウンターへ続く窓に日本酒自販機が置かれ、お店が縮小されていた。
こんなところにまで余波が。
大変な中、お店を続けていてくれて、本当に本当にありがとう。
気付いた時に来よう。
お金落とそう。
ここには無くなって欲しくない。
サッポロラガー赤星。
赤星ですよ赤星。
しかも中瓶なんと390円。
呑兵衛なら、特にビール好きならば飛び付かない訳がありません。
瓶ビールをグラスに美味しく注ぐには、まずドバッと泡を立てるように注ぎます。
泡が落ち着いてきたら、泡がグラスのふちにくるまで細く静かにビールを注ぐ。
更に少し泡を落ち着かせ、最後に再び細く、出来れば高い位置から注ぐ。
するとどうでしょう。
7対3の黄金比に加え、このこんもりした泡。
見よ!!って感じ。
これをカウンターで1人で作るのが至福なんじゃい。
ちなみに注ぎ方はサントリービール工場の見学した時にご享受賜った。
ビール工場見学、最高だよね。
タダで見学できて、最後にビールも呑めるのです。
今は中止してるのかな。
また行きたい。
数ヶ月に一回くらいの来店頻度なのだが、店員さんに顔見て「あ、いらっしゃい」という反応をされる。
お、覚えられている、のか。
距離感が云々という話をしたが、こういうのはすごく嬉しいのだぞ。ツンデレかな?
いつも食べるとりわさ。
なんと250円。
柔らかな鳥身に、キリッとした山葵。
最高です。控えめに言って、最高です。
とりわさ写真にちょっと見切れてたこの子は私のお財布。
コリラックマがまぐち。
4〜5代目くらい。
絵柄違いで、新品のストックがあります。
酔っ払ってすぐ大事な物を紛失するので、紐付き。
数年前にお姉ちゃんが「じゅんすぐ失くしちゃうからこれあげる!」と、ゲームセンターで取ってきてくれた。
鍵と携帯と財布は、無くすので首から下げる。
最近やらかしてないので油断してポケットに入れている事が多い。
首、凝っちゃうんだよ。
財布の中身が多いわけではなく、三つも下げてると、という意味である。
中身が多いわけではない。(大事な事なので2回言ってみた。)
赤星をおかわりして、これまたいつも頼む肉豆腐。
180円。
豆腐半丁、このボリュームで、180円。
熱々で寒い夜にぴったり。
熱燗呑みたくなっちゃうよね。
一口より少し小さいサイズに箸で切り、汁に付けて食べる。
これは無限に呑めるのではないだろうか。
つまみがあと少しあるからもう一杯呑もう→酒があと少し残ってるから何かつまみ頼もう→この無限ループが始まると最後。
回遊魚のように呑み続け、閉店するまで帰れなくなる。
昨日はここで区切りが良かったのでおしまい。
空いた皿とグラスをカウンター上に上げてテーブルを拭き「ごちそうさまでした」と言って店を出る。
赤星390円2本、とりわさ250円、肉豆腐180円。
締めて1210円也。
レコーディング頑張ったご褒美。
帰りにSEIYUで氷結シャルドネを買って帰宅。
呑みかけで爆睡。
疲れてたのかな。
久々にひとり立ち飲みを堪能した夜だった。
きど藤、高円寺に来た際には是非。
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